『優しさの種を撒いて』
この暑さはいつまで続くのかなぁ?ちゃんと秋がやってくるのかなぁ?と心配していた今年の北海道の夏も、ようやく秋の香りがする風が吹き始めましたね。園庭では、安心して屋外遊びが出来る気温になり、トンボやバッタを追いかける子ども達の歓声が響いています。この夏をたくましく乗り越えた子ども達は、さっそく次の目標に向かって進み始めましたよ。
今年も、年中少さんはグループホームや養護老人ホーム敬心園のおじいちゃんおばあちゃんへ元気を届けるために歌と踊りの練習を、年長さんは北海道療育園の方々のために応援メッセージとマーチングを収録したDVDの作成を始めました。年中さんに敬心園に行くお話をしたところ、昨年グループホームに行ったことを覚えていた事もあり、さっそく元気なパワーを届けるための話し合いの場を設けていました。「元気に踊る姿を見せたい!」「みんなで力を合わせて歌を歌ってあげたい!」「面白い顔をして笑わせてあげる!」など、どうやったら元気を届けられるか真剣に考え、様々な意見が出たようです。年長さんは、療育園の入所者の方に手紙を書きたいという意見が出て、グループごとに分かれ手紙の内容を考えたり、動画ではみんなのどんな姿を見せたら喜んでもらえるのかをそれぞれで話し合ったりしました。「頑張っている姿、笑顔、元気を見せられたら良いと思う!」「もしかしたら、目が見えない人もいるかもしれないから、大きい声で、優しくメッセージを言ったらいいと思う!」など、子ども達から療育園の方々を思いやる意見が沢山聞かれました。直接は会えない子ども達に、どんな方たちが入所しているのかを知って欲しくて「北の療育」という療育園さんの活動誌を見せたのですが、身近で会う機会が中々ないため、写真を見てその姿や表情に戸惑ってしまう様子がありました。でも、続けて先生が「楽しい、嬉しいと感じることはみんなと同じで、歌や踊りを見たり聴いたりする事が大好きなんだって。」と伝えると、「なんだ、一緒じゃーん!!」との声が。その「見た目は違うかもしれないけどみんな一緒なんだよ」という私たち職員が一番伝えたかった思いを子ども達から聞くことができ、嬉しい気持ちでいっぱいになりました。
様々な方々と交流していく中で、子ども達の中にも色々な思いが芽生えると思います。優しさ、思いやり、交流を持てた楽しさ、嬉しさだけではなく、驚きや困惑の感情を抱くかもしれません。私たち職員は、子ども達一人ひとりの素直な思いや反応を受けとめつつも、障害を持っている方も身近な存在であるということへの理解を深められるよう、保育を通して子ども達の心に優しさの種をまき続けていこうと思います。
園長 谷藤実和
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