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『秋の実りと心の成長』
遠くに見える大雪山系・旭岳の頂には雪のかんむり。朝晩の冷え込みも増し、一雨ごとに冬の足音が近づいてきました。園庭の木々も少しずつ葉を落とし、季節の深まりを告げています。
そんな中でもたいせつ幼稚園の子どもたちは元気いっぱい。森に出かければ、落ち葉のじゅうたんを踏みしめて、どんぐりや松ぼっくりを夢中で探し、手で触れて、目で確かめ、匂いを嗅ぎ、五感で季節を感じています。その姿に、「あぁ、子どもって全身で生きているんだなぁ…」と愛おしさを感じます。森で過ごす時間は、ただ遊んでいるように見えて、子どもたちが心と体をたっぷり使って学んでいる時間です。「前に来たときは、葉っぱは緑だったのに、どうして赤くなったんだろう?」、「このどんぐりの帽子は何でふさふさなの?」そんなつぶやきに、子どもたちの探求心が宿っています。森遊びは、木々のぬくもりや土の匂い、風の冷たさを感じながら、心をしなやかに、体をたくましく育くむ、かけがえのない時間だと感じています。
幼稚園での収穫もいよいよ最終段階です。年長さんは、自分たちで植え、世話をし、収穫したサツマイモで焼き芋パーティーを、年中さんは、じゃがいもを使っていももち作りを楽しみました。自分の手で作ったものを「おいしいね!」と笑い合う姿には、食への感謝と喜びがあふれていました。
そして、いよいよ11月2日(日)に迫ったお遊戯会に向けての練習が佳境を迎えています。ステージの上で、少し緊張して表情が固くなってしまう子、仲間を励ますように笑いかける子、思いきり声を出して、「見て!」と言わんばかりに自分を表現する子…、そのどれもが成長の証です。年長さんの劇、『まほうのとびら~たいせつなものってなに~』には、これまで幼稚園で大切にしてきたことが、ぎゅっと詰まっています。頑張る力、お友だちとの絆、そして、落ち込んだり失敗したりしたことも自分の糧にしてきた姿。その一つひとつの経験が、子どもたちの中で確かな力となり、仲間との絆を深めてきました。練習を見ているだけで、これまでの子どもたちの姿が目に浮かび、胸が熱くなります。年中さんは、表現する楽しさを少しずつ味わい始めています。昨年は恥ずかしさで立ち止まっていた子が、ステージの上で堂々とセリフを行ったり、音楽に合わせて大きく体を動かしたり。少しずつ、「自分もできる!」「一緒って楽しいね!」という気持ちが芽生え、一人ひとりの表情や動きに自信と成長を感じ、その姿が本当にうれしく、頼もしく感じられます。クラスで育んできた自信と仲間意識が、次への大きな一歩になりそうな予感です。年少さんは、元気さと可愛らしさがいっぱい。そしてその中でも、満3歳児のお友だちを気に掛けリードしてあげる優しい姿がたびたび見られ、自分のことだけではなく周りにも目を向けられるようになってきたことに成長を感じています。お遊戯会は単なる発表の場ではなく、これまでの練習や毎日の幼稚園生活の積み重ね、正に集大成です。子どもたち一人ひとりが、自分らしさをのびのびと輝かせられる素晴らしい時間となりますように。
どうか当日は、『上手に出来るか』よりも『これまでの頑張り』や『お友だちと共にやり遂げようとする姿』を温かい眼差しで見守っていただけたらと思います。一人ひとりが主人公。その輝きが、会場いっぱいに広がりますように。
園長 谷藤実和
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